調 査 内 容
 各研究目的別に具体的な調査内容を示す。 なお、以下の1~6は、前述の「研究の目的」の番号と対応している。 本研究では河川をBasin(ベイスン)、Segment(セグメント)、Reach(リーチ)という空間単位で捉える。

対象リーチの絞込みの例
ここで、Segment(セグメント)とは勾配と河床材料に支配された河道形態が類似した区間をさす。
Reach(リーチ)とは瀬と淵が1つ以上のペアを含む範囲を示す。

 1.河川流域・河川構造の歴史的な変化に対する河川の応答を理解する。

★調査内容
 過去から現在までの河川流域や河川構造の変化と河川における様々な現象(水質、生物など)との関係を調査する。 具体的な調査項目、内容は以下の通りであるが、“河川における様々な現象”については、 調査項目2~4の情報を利用する。

関係の把握
★方法
●既往文献・地図・空中写真などの資料を活用して、経時分析を行う。

 2.ハビタットを類型化し、その形成・維持機構、生態的機能を明らかにする。

★調査内容
●空間特性と生物生息状況をつきあわせて植物、鳥、魚、底生動物などを類型化する。 そのために、まずあるセグメントで代表的な場所を選ぶための予備調査を行い、 次にリーチを決定し調査を行う。
●空中写真などを利用し、歴史的に河道自体がどう変動したのか、 その中で植生などがどう変遷してきたかを見る。
●植物、鳥、魚、底生動物などの生活史とそれらの相互作用を調査し、 ハビタットが生物にどのような役割を果たしているかを明らかにする。
★方法
(1)対象リーチの特定
 あるセグメント内及び支川に予備サイトを設け、生物の定性的調査、水質、河床材料調査を行い、研究対象リーチを特定する。
(2)対象リーチにおける調査
 ハビタットの類型化を行い、対象リーチについて次のような調査を継続的に行う。
・物理・化学調査… 流量、水位、地形、河床材料、水質、地下水位などの調査
・生物調査………… 鳥類、魚類、底生動物、植物、陸上昆虫、哺乳類、藻類、両生類・爬虫類に関する定量的調査、個体群動態調査