研 究 成 果

 標津川 河口~共成地区

 標津川では河口から共成地区までを主な調査地区として研究を進めている。 特に共成地区にある自然復元地では、平成14年3月に河口から 約8.5kmに位置する1区間の旧川(三日月湖)と標津川本川を連結し、 蛇行河川の復元試験を開始した。現在標津川技術検討委員会により、 河道変化状況、魚類及び水生昆虫類の生息環境、水質、植生等の 変化に関する調査研究を実施している。
河道変化状況 河道変化状況
●自然復元試験地と調査研究
 旧川への通水に際し、掘削により旧川と本川を連結するとともに、 分流部に高さ約1mの透過型堰上げ施設を設置し、通常時は主に旧川に水が流れ、 洪水時には本川と両方に水が流れるようにした。
(1)河道
・復元河道では、直線河川に比べ、瀬や淵などの存在により 水深や流速の変化に富んだ多様な環境が形成されている。 
・本川から蛇行区間への流入部分の左岸側で侵食が著しく進行した。 対策として河岸保護工を実施した結果、横方向の侵食は収まり、 河床が掘れ、水深が深くなっている。
自然復元試験地 自然復元試験地
(2)魚類・水生昆虫
・直線河道ではほとんど見られなかった大型のサケ科魚類が 蛇行部の淵や倒木の陰で確認されている。
・蛇行部では通水直後に比べ、魚類の種類数が増えてきていることが確認されている。
・蛇行部では、魚類の餌となる水生昆虫が直線河道より多く生息しており、 特に水際で生息密度が高いことが確認されている。
サクラマス 倒木投入部で確認された大型のサクラマス 水生昆虫の密度 水生昆虫の密度
・発信器をつけたシロザケやカラフトマスの親魚を放し、その行動を追跡する調査をしたところ、 蛇行部を遡上することが確認された。
硝酸態窒素濃度分布図 硝酸態窒素濃度分布図
●その他の地区の調査
・河畔林の樹齢や分布状況、洪水の発生頻度(冠水頻度)や地下水位と植物群落の関係を 把握するため、リファレンスサイトとして近隣の当幌川で調査を行っている。
・流域の土地利用の開発による川の水質への影響を把握するため、 土地利用が異なるいくつかの地点での水質調査を行っている。 得られた結果を検証し、自然再生計画に反映させていく予定である。

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