研究テーマについて

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 当研究所では、BIM/CIM を活用した治水・環境・維持管理の観点を兼ね備えた川づくりを実現するとともに、調査・設計・施工・維持管理段階における生産性向上や働き方改革の促進のため、河道の3次元設計に関する調査研究を行っています。
 令和5年度は「多自然川づくりの高度化に向けた河道の3次元設計導入の手引き(案) (以下「手引き」という)」を作成するに至りました。

1.河道の3次元設計を導入するメリット
■ 河道の設計を行う場合に、3次元データを活用した面的な解析結果に基づき治水面と環境面の評価を同時に
 行うことにより、環境への影響を十分に検討した多くの代替案から最適なものを選定することが可能
■ 面的な地形データと面的な環境要素を統合することにより、瀬淵等の生物の生息場を考慮したきめ細やかな
 設計が可能
■ 将来的な河床変動等の地形変化を予測することにより、以下の点等を考慮した設計が可能
 ・生物の生息・生育環境が整った整備(既存生物に配慮)
 ・維持管理(再堆積による河道掘削、植物繁茂抑制)を考慮した整備
■ 立体的な完成イメージを示し(多視点での確認)、地域住民等の利用者の観点を考慮する等河川景観(デザ
 イン)を意識した設計が可能

2.河道の3次元設計における検討プロセス及び実務的なフロー
  河道の3次元設計を行う際の検討プロセス及び実務的なフローを整理しております。
  河道の3次元設計を進めるうえでは「河道の3次元設計ツール」(iRIC ソフトウェア(iRIC(RiTER Xsec 、EvaTRip Pro、Nays2DH等)、ゲームエンジン、3D CAD等)の活用も有用です。


               図 河道の3次元設計における検討プロセス


図 河道の3次元設計を行う実務的なフロー

3.多自然川づくりの高度化に向けた河道の3次元設計導入の手引き(案)
  本手引き(案)は、「多自然川づくり高度化ワーキンググループ」における令和5年度までの検討をとりまとめたものであり、今後、事例の追加等含め適宜修正・更新を行う予定です。河道の3次元設計における今後の発展のため、本手引き(案)をご活用ください。

NEW! 「多自然川づくりの高度化に向けた河道の3次元設計導入の手引き(案)(令和6年3月)
    令和6年3月末時点から参考資料を更新しました。更新箇所は、こちらをご覧ください。

◆手引きに関するお問い合わせ先
  お問い合わせ、サポートのご相談は以下までご連絡をお願いします。
  問い合わせ: Email: supportcenter☆rfc.or.jp  (※ ☆を@に変えてご利用ください)

※ なお、令和5年4月1から適用されている「直轄土木業務・工事における BIM/CIM 適用に関する実施方針」では業務の特性に応じて活用する推奨項目の一つに「3次元モデルを活用した多自然川づくり」(No.30)も記載されており、その実施に必要な経費は見積もりにより計上することになっています。

4.参考資料
参考資料(外部リンク)
河川CIM(3次元川づくり)の考え方と標準化に向けた取組み・課題 BIM(中村圭吾ら)
河川CIM標準化検討小委員会 成果報告書(JACIC)
・3次元河道設計ツールを活用した具体事例(外部リンク)
  3次元河道設計ツールを用いた治水・環境の一体的検討の試行~雲出川直轄区間を例として~
 (河川技術論文集,第28巻,2022年6月 周月霞ら)
  


【出典】3次元河道設計ツールを用いた治水・環境の一体的検討の試行~雲出川直轄区間を例として~(周月霞ら)
図 植生評価(雲出川の事例)

 整理した河道の3次元設計のプロセス及び検討フローに基づき、三重河川国道事務所(雲出川)では3次元設計ツールが試行的に導入されています。
 上図の植生評価では、平均年最大流量・整備計画流量流下時の洪水ピーク時点とし、現況河道に対して、流量規模の違いが植生評価結果に与える影響を評価しました。
 雲出川の解析結果の詳細については上記論文を参照してください。