●植生被覆の変化
本村地区では砂州上の植生による被覆状況と年最大流量との関係の解析から、
植生の破壊と回復が繰り返されている様子が理解できた。
北川の平均年最大流量は1,850m3/sである。
本村砂州の植生は、2,300m3/sを限界流量として増減しているから、
平均年において回復傾向にあることになる。
また、平均的に約6年に1回の頻度で植生が破壊されていることが明らかになった。
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植被指数の経年変化 |
●植生回復
高水敷を全面掘削した川坂地区では、帰化植物のアレチハナガサが優占した。
これに対し、表土を保全し、旧河道の植生を残した的野地区では、
在来の湿地性植物が優占した植生が回復している。
一部の植生を残すことが、在来種中心の植生回復を図る上で、極めて重要であることが明らかになった。
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的野地区左岸の植生の状況 |
●河口域の環境変化
河口域では、河川改修が水際・水中部にほとんど手を加えず進められて水域環境への影響が少ないため、
北川の魚類相の変化と河川改修との関連が認められなかった。
希少種で砂礫底の代表種であるカワスナガニは北川感潮域に生息し、
成体にとり選好性の高い生息条件は、甲幅の2~3倍の礫床,低塩分,
18~20℃程度の水温であることが明らかになった。
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カワスナガニ |
●哺乳類の行動変化
的野地区では、新開発のマルチテレメトリを用い、中型ほ乳類の行動を追跡した。
工事現場の近くに避難できる植被、好適な餌場があれば、必ずしも従来の生息地は捨てられていない。
工事の騒音、振動を回避する行動が明確にみられるため、工事方法に配慮すれば、
工事終了後の定着、あるいは動物種の多様性の回復は早いことがわかった。
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マルチテレメトリによるタヌキの行動と騒音分布 |
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